1992年、まだiPhoneもiPadもなかった時代、スティーブ・ジョブズという若者(当時はNeXTという会社を率いていました)が、大学生たちにとても大切なお話をしました。
(This 1992 lecture at MIT from Steve Jobs will teach you more about product and sales than most 2 year MBA programs)

それは、コンピューターという道具をどう使えば、みんながもっと幸せに、そして自由になれるかという秘密についてでした。


お金の使い方で「心の余裕」が変わる?

ジョブズは、ある不思議な調査を紹介しました。それは、すごくうまくいっている会社も、つぶれそうな会社も、実はコンピューターに使うお金の割合は同じだということです。

じゃあ、何が違うのでしょうか?

  • 「守り」に使う会社(あまりうまくいかない) 書類をきれいに直したり、ハンコをもらうための手続きを早くしたりすることばかりにコンピューターを使います。これでは、人間が「機械のお世話」をしているようなものです。
  • 「攻め」と「喜び」に使う会社(すごくうまくいく) 「どうすればもっとお客さんが喜ぶか?」「どうすれば新しいワクワクする商品を作れるか?」という、その会社の「心臓」の部分にコンピューターを使います。

コンピューターは、ただの「便利な計算機」ではありません。使う目的が**「管理(しばること)」なのか、それとも「創造(つくりだすこと)」**なのかで、その場所の幸せの量は全く変わってしまうのです。

「待っている時間」を「ワクワクする時間」へ

ジョブズが作ったソフトウェアのすごいところは、それまで作るのに「2年」かかっていた新しいアプリを、たった「90日」で作れるようにしたことでした。

これがどうして「幸せ」につながるのでしょうか?

何年も待たされるのは、誰だってつまらないですよね。でも、新しいアイデアがすぐに形になれば、みんなが「次はこれをやってみよう!」と前向きになれます。「スピード」は、ただ早いだけでなく、みんなのやる気を育てる「魔法」なのです。

「バナナの味」は食べてみないとわからない

ジョブズは、頭だけで考えてアドバイスをする人を少し厳しく叱りました。「バナナの写真を見て、味を知った気になってはいけない」と言ったのです。

  • 失敗して、転んで、傷ができること。
  • そこから「次はこうしよう!」と自分で立ち上がること。

実際に自分でやってみて、失敗して、そこから学んだ経験(ジョブズはこれを「心の傷跡」と呼びました)こそが、世界を良くするための本当の「知恵」になります。

まとめ:コンピューターは「人間の心」を助けるもの

ジョブズが伝えたかったのは、コンピューターは人間を支配するためのものではなく、人間が「自分にしかできないこと」に集中するための道具だということです。

事務作業や面倒な手続きはコンピューターに任せて、人間はもっと誰かを笑顔にしたり、新しいことを考えたりする「余白」を持つ。そんな社会こそが、ジョブズが夢見た「幸せな社会」の姿でした。

──コンピュータは、社会を、人生を幸せにし得る。まだそう信じている人はいますか? そう信じたい人はまだたくさんいます。